【得意なこと】を【適職・天職にする】までのお話

いざ、実践


あたくしの指導者は、もうすぐ定年退職される主任さんでした。


年の離れた(10歳以上離れていたはず)同期と二人。一緒に行動すると聞いた時は、ひとりじゃなかったんだと、心細かった心が少し和んだのを覚えています。※以後、相方と呼びます。


バックヤード(パントリーとも云う)から、初めて清掃員として、客室へ向かいます。


長く続く廊下の両側に、部屋がずらっと並んでいて、ホテル独特の非日常感や、少し華やかな雰囲気を感じたのを覚えています。


しかし、そんな悠長なことを感じている場合ではありませんでした。私達は、客室エリアに入った瞬間から、チェックイン時間までの戦いの火蓋が切って落とされているのです。


実際にチェックアウトされたお部屋で、主任が実際に体を動かしながら、一つずつ動作の説明をしてくれます。この時、必ず説明を【聞く】ということに全集中します。なぜなら、下手に手伝おうとすると怒られるからです。(笑)


中途半端に聞きながら手伝ってしまうと、どうしても【手伝わないと】の方に意識が集中してしまうので、説明の全貌が解らないですよね。


主任の説明のあと、いよいよあたくし達も実践です。


ベッドは、今まで人が寝そべっていた形跡を感じられ、スリッパやハンガーも使用してあり、浴室はシャワーカーテンが濡れてあったり、バスタオルが散乱してあったり、もちろんトイレも使用してある。(このくらいの状態は普通、寧ろ使用度が低い)



...これが、これが人が宿泊した後の部屋なんだ。あたくし達は、このお部屋を清掃して、ホームページ等で見る、あの華やかなホテルの客室に仕上げるのですね。




貴方は素直だからすぐ覚えるわ



相方はベッドがある寝室、あたくしは浴室を。二人同時に一部屋の作業を進めて行きます。


主任は、先にあたくしの方を指導して、まずはシャワーを使って浴槽を濡らし、洗剤を掛け…と説明してくれます。あたくしが一生懸命に浴槽をゴシゴシしている間に寝室へ行き、相方の指導をし、また戻ってきて今度はトイレの磨き方。と、行ったり来たりフーフー息を切らします。


あたくし達も体を動かしますので、フーフー言いながら掃除をします。(慣れてしまえばこっちのモン。初動は汗をかきましてよ)


初日は3部屋だったかな。交互に掃除箇所を変え、じっくりゆっくり丁寧に教えて頂きました。部屋の作業のあとは、片付けの仕方を教えて頂き、終了。



翌日、また同じように相方と作業を進めるのですが、途中から主任が少々御怒りの御様子。どうも、相方が何かしらをしてしまった模様。


…気まずいじゃありませんか。でも、あたくしは、早く仕事を覚えたかったので、気まずいのは一瞬だけで、主任の指導について行こうと必死です。


あたくしが一人で作業していると、ふと主任が来られて、こう言いました。


「貴方は素直だから、すぐ覚えられるわ」


ん?そうなのですか?そう言われて嬉しかったけど、ちょっと不思議でもありました。


その日の帰りの更衣室。
相方が着替えながら「こんな仕事、やってられない。制服、ロッカーに置いて帰っていいかな!」と鼻息を荒くして去って行き、翌日、相方は本当に来ませんでした。


どの仕事もそうですが、その仕事が性に合う人、合わない人がいて、相方は【客室清掃が合わない人】に当てはまってしまいました。


主任の「貴方は素直だから、すぐ覚えられるわ」は、もう既にそれを感じていたのでしょうね。







・・・今日はここまで。続きはまた。






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